本日の科学ライブショー「ユニバース」は、亀谷和久(国立天文台)が案内役を務め、ゲストに松下恭子さん(東京理科大学理学部第一部物理学科 教授)をお迎えしてお送りしました。
ライブショーは本日の科学技術館からスタート。夜に見える星を紹介していきました。
夜中には木星・土星・火星と3つの惑星を観ることができます。
火星は現在地球にとても近い位置に近づいており、7月終わりごろに最も接近します。
今年は15年ぶりくらいに非常に近い位置まで火星が接近するとのことで、大きく、明るい火星を観ることができます。
続いて宇宙へ飛び出しました。
天の川には真ん中に黒い帯のようなものがありますが、これはそこにガスや微粒子があるために背後の星からの光を遮り黒く見えています。
長野県にある国立天文台の野辺山45m電波望遠鏡を使用した天の川の観測から、この場所に存在するガスのようすが詳しくわかってきました。
その後、宇宙の果てまで行き、再び地球へ戻ってきたところで、本日のゲストコーナーへ。
ゲストの松下さんには「エックス線で見えた!宇宙の元素合成の歴史」というタイトルでお話をしていただきました。
宇宙が誕生したころは、存在する元素は水素とヘリウムだけでした。
しかし、現在は酸素や炭素、ケイ素や鉄など様々な元素が存在します。
では、それらの元素はどうやって誕生したのでしょうか。
これまでの研究から、多くの元素は星の中で誕生したということがわかっています。
恒星が爆発した時や、中性子星と中性子星の合体や、白色矮星と白色矮星の合体の時に様々な元素が生成されます。
X線天文衛星ASTRO-H(ひとみ衛星)は、X線を使い天体を観測する衛星です。
残念ながら打ち上げから1カ月ほどで観測ができなくなってしまいましたが、その間に、銀河団に重力で閉じ込められた数千万度の高温の気体からのX線を観測しました。
すると、そこには様々な元素が見えてきました。
ひとみの観測したデータから、クロム・マンガン・ニッケルの量を測定したところ、天の川銀河から遠く離れた銀河団にもかかわらず元素の割合が太陽のものと一致していることが分かりました。
このことから宇宙では同じように銀河ができており、宇宙全体の元素の割合は太陽の元素の割合と同じなのではないかと考えられるとのことでした。
科学ライブショー「ユニバース」では毎週様々なゲストをお呼びして科学の話題をお送りしています。
ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。