7月23日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、亀谷和久(国立天文台)が案内役を務め、
ゲストに阿部新助さん(日本大学理工学部航空宇宙工学科)をお迎えしてお送りしました。
まずは「本日の星空」のコーナーから。本日の20時に合わせ、どんな星が見えるか
確認しました。北の空には、おなじみの北斗七星が。さら に、北斗七星をひしゃくに
見立てて桶の先を伸ばしていくと、北極星が見つかります。持ち手の部分を
伸ばしていくと、春の大曲線を描けます。
そして視線を南に向けると、赤く光る星が見つかります。これはさそり座の1等星、
アンタレスです。さそり座の頭の近くには、同じく赤く光る火星と、輪が特徴的な土星が
見えます。視線を上に向けてみると、明るく光る3つの星が見つかります。これが有名な
夏の大三角です。紹介したこれらの星々はとても明るく、肉眼でも見つけるこ とが
できるのでぜひ探してみてください。
続いて「ライブ天体観測」のコーナーへ。アメリカのヤーキス天文台と中継を繋ぎ、
コリーさんに天体の写真を紹介していただきました。
今回は、クレーターがはっきり見える月、超新星爆発によって生まれた、はくちょう座の
網状星雲、そして2つの銀河が寄りそい、将来合体するだろうといわれている
子持ち銀河の写真を見せてもら いました。


moon.jpeg
図:月の表面

いよいよ地球を飛び出してみなさんと宇宙旅行へ。まずは見えてきたのは太陽系
惑星たちです。それぞれ名前をみなさんと確認しました。さらに太陽系の外に出ると、
私達が暮らしている 天の川が見えてきます。どんどん離れてたくさんの銀河たちの
間をすり抜け、宇宙の大規模構造が見えるところまで行きました。この宇宙の
大規模構造は隙間だらけですが、これから研究が進めばこの隙間が埋まる日が
来るかもしれません。
最後は「ゲストコーナー」。阿部さんには「流れ星を造る」というタイトルで
お話していただきました。実は地球には、1日100~300トンもの流れ星が 落ちています。
その数はなんと、1分間に1000個!しかし、そのほとんどは肉眼では見えない暗い
流れ星であるため、その姿を見ることはできません。史上最大の流れ星と言われて
いるのが1833年のしし座流星嵐。このときは、とても明るい流れ星が1時間に
2万~10万個も見えたと伝えられています。阿部さんは、1999年のしし座流星群を
NASAの飛行機から観測し、まさに流星嵐というべき大量の流星に遭遇したそうです。
また、2010年の小惑星探査機はやぶさの地球帰還の際には、オーストラリアで
はやぶさが地球大気に燃え尽きる様子を目撃されたそうです。
阿部さんのご専門は、流星などが地球の大気に突入して輝く際の色(スペクトル)を
観測して、そのもとになっている物質の組成を研究すること。そのためには、どのような
物質がどのように光るかの「ものさし」になるものがあると都合が良いそうです。そこで
考えついたのが、素性の分かっている物質を人工衛星から放出して大気に突入させ、
流れ星を造ってしまおう!ということでした。流れ星を造るためのアイデアをはやぶさの
地球帰還カプセルや隕石から得て実験を重ね、今ではとても明るい流星になる材料を
作ることに成功したそうです。
さらに阿部さんは、その人工の流れ星を売って、指定した時間と場所に流してくれる
企画にも参加しているとのこと。誕生日や記念日に流れ星が流れたら、
とてもロマンチックですね。
科学ライブショー「ユニバース」では毎週様々なゲストをお呼びして科学の
話題をお送りしています。ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。