11月30日@科学技術館

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11月最後の「ユニバース」は、伊藤哲也(国立天文台)が案内役を務め、
お送りしました。
だんだんと冬の訪れを感じる季節となりましたが、今日の夜空にはどの
ような星が輝いているのでしょうか。西の空にはまだ夏の星座が昇って
います。はくちょう座はクリスマスの時期にちょうど十字架が立った姿に
見えるので、西洋では北十字と呼ばれているそうです。南の空には秋の
星座であるペガススの四辺形、東の空のには冬の星座であるオリオン座や
おうし座やふたご座などが昇っています。
今度は宇宙に飛び出して地球の姿をご覧いただきました。地球には青い
海が広がり、白い雲が渦巻いています。本日の「ゲストコーナー」は東京
大学大気海洋研究所の柳瀬亘さんに「天気を決める色々なうずまき」と
題してお話していただきました。
みなさんは今週の月曜日、11月25日の東京の天気がどんな天気だったか
覚えていらっしゃいますか?この日の気温は昼間の3時に約16度、夜の9時に
約19度と夜のほうが暖かかったんです。北風は冷たく南風は暖かいとよく
言われますが、この日の夜は強い南風が吹いていたので昼間よりも暖かく
なるという現象が起こりました。11月の地球全体の雲の動きを見てみると、
熱帯で台風が起こったり、日本付近で雲が渦を巻いたりしながら動いている
様子が分かります。では、日本付近のうずまきはどのようにして起こるの
でしょうか。地球全体の気温を見てみましょう。地球の気温は赤道付近が
暖かく、北極や南極では冷たくなっています。日本があるのはその中間
ぐらいのところで、北と南で気温差が大きい場所です。柳瀬さんはコン
ピュータシミュレーションを使って雲のうずまきの研究をされています。
柳瀬さんに見せていただいたシミュレーションでは、北に冷たい大気、南に
暖かい大気があるところに小さなうずまきが起こると、渦巻きが大きく発達
していく様子がわかります。気温差がない大気では、渦巻きは発達せず、
むしろ弱くなるというシミュレーションも見せていただきました。気温差の
中で発達した渦は、冷たい空気と暖かい空気をかき混ぜるため、地球の
気候を調整する役割もあるそうです。最後に、双子の台風の映像を見せて
いただきました。赤道付近で発生した2つの対になった台風がそれぞれ
反対向きに渦を巻きながら発達していく様子は圧巻でした。
再び、宇宙から太陽系の姿をながめました。皆さんは彗星をご覧になった
ことがありますか?今日は池谷・関彗星、マックノート彗星、ラブジョイ
彗星の画像を紹介しました。彗星から伸びる尾は様々な姿をしており、
とても幻想的な画像でした。最近、太陽に近付いているアイソン彗星は
太陽系に最接近する前に、うっすらとのびる尾が綺麗に観測されていました。
最接近後に明るく見えるだろうと期待されたアイソン彗星は、残念ながら、
太陽に近付いたときに核の部分が崩壊してしまい、最接近する前よりも
ずいぶん暗くなってしまいました。ですが、街明かりの無い暗い場所では
明け方にアイソン彗星の尾がうっすらと見られるかもしれません。