10月19日@科学技術館 特別展「日本のノーベル賞科学者展」講演会

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特別展「日本のノーベル賞科学者展」講演会と題しまして、10月18日、19日にわたって本年ノーベル賞を受賞した研究分野に携わる現場の研究者の方に解説をいただきました。昨日行われた物理学賞解説に続きまして、本日はノーベル化学賞を受賞した下村先生の研究内容である「オワンクラゲ」の緑色蛍光タンパク質(GFP)について、理化学研究所・東京大学の中野明彦先生に「クラゲの光るタンパク質――生命科学の革命!」と題してお話していただきました。
元々オワンクラゲの発光メカニズムを研究していた下村先生は、その要因がイオクリンとGFPというタンパク質に担われていることを見つけ、さらにイオクリンがエネルギーを受け取って青く発光し、その青い光を吸収したGFPが緑の光を出すという仕組みも解明しました。その後、青い光を当ててやるだけで、他の物質を使わなくても特定の光を出すGFPはその便利さから遺伝子研究などの生命科学の様々な分野で使われるようになりその結果、今回のノーベル化学賞の受賞になったそうです。本日は、GFPをお持ちいただき実際に光っている様子をご覧いただきました。

お話の後半では、中野先生が実際にGFPを使って行っている研究を紹介していただきました。細胞内の小さな器官であるゴルジ体がタンパク質などを輸送する仕組みは長い間謎だったそうですがGFPで色をつけ、さらに中野先生達の開発した顕微鏡によってゴルジ体の動きが見えるようになり解明することができたそうです。クラゲからはじまったGFPが今では研究者の欠かせないツールになったんですね。
図:装置から出る青い光を吸収して容器に入ったGFPが緑に光っている様子。