本日の科学ライブショー「ユニバース」は、案内役を矢治健太郎(立教大学)が
務め、ゲストには世界化学年にちなんで佐藤健太郎さん(東京大学大学院
理学系研究科化学専攻)をお迎えして上演いたしました。
まず、「太陽系の姿」を見て惑星を紹介しました。昨日はあいにく天気は良くなかった
のですが、地球と月、そして太陽の位置関係から昨日の月が満月であることが
わかりますね。また、今日の日本時間9時に撮影した太陽の画像を紹介しました。
太陽にある黒点が多いと、太陽活動が活発なことを示しています。今日の写真には
大きな黒点群が、4,5個見えているので活発なことがわかります。太陽の撮影には
地上の望遠鏡や、地球の周りを回る人工衛星「ひので」などを用います。その後は
科学技術館に着陸し、今夜の星空をギリシャ神話をお話しながら紹介しました。
ギリシャ神話と星座を対応させながら見ていくと、とてもおもしろいですね。
次に、「ライブの天体観測」です。今日は、シカゴ天文台のビビアンさんからM29、SSCyg、
木星の画像を送っていただきました。シカゴ天文台はライブ天体観測時、極寒
だったようです。M29ははくちょう座の散開星団で若い星の集まりです。SSCygは、
はくちょう座の変光星です。変光星とは名前の通り明るさが変わる星です。2枚の
写真を見比べると一ヶ月で明るさがだいぶ変わっていることが分かります。最後に
木星です。今日の木星はガリレオ衛星が3つ(イオ、エウロパ、ガニメデ)見えています。
残念ながら、カリストは見えません。
図:SSCyg
図:木星とその衛星
最後に「ゲストコーナー」では、「宇宙へつなぐ炭素のかけ橋~カーボンナノチューブの
作る未来~」と題して、軌道エレベーターのケーブルの素材に適しているカーボン
ナノチューブについて説明していただきました。みなさん、宇宙に行ってみたいですか?
現在、宇宙に行くには莫大なお金がかかります。なぜならば、宇宙に行くための
ロケットは、秒速11.2kmといった超高速で地球から出て行かなければなりません。
そのためには、莫大な燃料が必要になります。そして、環境にも良くありません。
そこで考えられたのが、軌道エレベーターです。軌道エレベーターとは衛星を打ち
上げて、そこから地球にケーブルを垂らし、荷物などを上げ下げするといったものです。
これにかかる費用はロケット打ち上げの500分の1ほどと考えられ、環境にも
優しいです。とても画期的な方法ですが、問題はケーブルの素材です。地球の重力や
遠心力に耐えるためには、鋼鉄の10倍以上の強度が必要になります。そこで
考えられるのが、カーボンナノチューブです。これは、多数の炭素でできている、
細長いチューブです。炭素の結合は最も強く、かつ六角形にすることで強固に
なります。しかし、全て六角形だけからできた完璧なチューブを作ることは難しく、
五角形や七角形を含んでしまうことが問題です。もし、完璧なカーボンナノチューブを
作ることができれば、軌道エレベーターも実現するかもしれません。ちなみに最近、
少量の水を加えることで、数㎜の高品質なカーボンナノチューブを作ることができた
ようです。みんなが気軽に宇宙にいけるようになるのも近いかもしれませんね。