3月1日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、亀谷和久(東京理科大学)を案内役に
お送りしました。
今日から3月。立春からは間もなく1か月がたち、また、半月後には春分を迎えます。
日が長くなっていくのも実感するようになってきました。
そんな中、星空は冬の星座や1等星たちがまだまだ主役です。日本から見える1等星は
年間で15個。そのうち約半数の8個は冬に見ることができます。オリオン座のリゲル、
ベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、
ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバランは見つけやすい一等星です。最後の
1個はカノープス。本州からは空の低い位置に見えるので、見ることが難しい1等星です。
見ることができれば長生きできるという言い伝えが中国にあったりします。
地上から冬の星空を見た後は、宇宙に飛び出して太陽系の惑星や天の川銀河、アンドロメダ
銀河などを見ていきました。ところで、銀河には様々な形があることをご存じでしょうか?
銀河といえばうずまきのイメージが多いと思いますが、うずを巻かない銀河や子持ちの
銀河など様々な形があります。また、銀河は集まる性質があり、密集しているところと
していないところがあり、泡のような構造があるように見えます。3Dを通して体感して
いただきました。
本日の「ゲストコーナー」は、東京大学の秋本祐希さんに「10分でわかった気になる
ヒッグス粒子」と題してお話いただきました。2013年のノーベル物理学賞の対象となって
有名になったヒッグス粒子。「物質に質量を与える素粒子」のように報じられることが
多いこの素粒子は、実際どのようなものなのでしょうか?
答えは「質量というものに『運動の変化のしにくさ』を持たせるもの」です。
まずは宇宙の始まりと考えられているビッグバンが起きた時間に行ってみましょう。
ビッグバンが起きたとき、ヒッグス粒子も含め、さまざまな素粒子が生まれました。
このとき、宇宙はとてつもなく熱かったのですが、ビッグバン発生から宇宙が大きく
なるにつれてどんどん温度が下がっていきます。そして、ビッグバン発生から1兆分の
1秒後の冷めた宇宙(といっても1000兆度!)で相転移と呼ばれる現象が発生します。
相転移とは氷が0度で水になり、水が100度で水蒸気になる現象と同じです。「自発的
対称性の破れ」と呼ばれる宇宙の相転移では、なんとヒッグス粒子の振る舞いが
変わります。相転移前の宇宙では「他の粒子には全く興味がない」という振る舞い
だったのに、相転移後の宇宙では他の粒子にまとわりつくようになります。ヒッグス
粒子は質量の大きな粒子に惹かれ、まとわりつかれる粒子は動きづらくなります。
ヒッグス粒子は「質量というものに『運動の変化のしにくさ』を持たせるもの」
ということになります。
重いものほどヒッグス粒子がまとわりついている。だから、止まっている物は動かし
にくいし、動き出したら止めにくい、ということですね。