5月28日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は矢治健太郎(国立天文台)が
案内役を務め、ゲストに下条圭美さん(国立天文台チリ観測所)を
お迎えしてお送りしました。
実は矢治さん、ちょうど一週間前はゲストとしてコロンビアから中継をつないで
ユニバースに登場しました。ここで先週のライブセッションの様子(コロンビア側)の
画像と裏話をちらり。
先週はコロンビアでゲスト、本日は日本で案内役、なんだか面白いですね。
さて、本編は「太陽系の姿」からスタート。太陽系8惑星の中で太陽から最も
近い水星は5月9日に、太陽観測衛星「ひので」によって太陽の前を通過する姿が
観測されました。また、地球の一つ外側を惑う星、火星は5月31日に地球に
最接近するので大きさも明るさも増します。
続いて地球から見る「本日の星空」のコーナーへ。20時の南の空にはおとめ座、
南西の空にはしし座、天頂付近にはうしかい座が見えました。また、22時頃まで
時間を進めると、夏の星座さそり座が南東の空に顔を出しています。
アンタレスと火星が互いに赤く輝いていい勝負!
ここで日本の時間をお昼すぎに戻し、アメリカのヤーキス天文台と中継をつないで
「ライブ天体観測」のコーナー。本日は、コーリーさんが3つの天体画像を紹介して
くれました。1つめは、M11という散開星団、2つめはカラフルに色付けされた、かに星雲。
そして3つめは縞模様が特徴的な木星です。


jupiter2.png
図:木星

コーリーさんに「Thank you!」と伝えてお別れした後は、「ゲストコーナー」へ。
下条さんには「アルマ望遠鏡で太陽を観測!?望遠鏡は壊れないの?」という
タイトルで太陽観測の最前線をお話しいただきました。
まずシンラドームいっぱいに映し出されたのは、BS放送を受信するような
パラボラアンテナ…?しかも、とても巨大なうえに砂漠にたくさん設置されています。
実は、アルマ望遠鏡とはこの複数のアンテナを組み合わせて宇宙からの電波を
とらえる干渉計方式の巨大電波望遠鏡なのです。その数なんと66台!
それらが最大15km四方に配置されています。つまり、これは最大15kmの擬似的な
「鏡」をつくっているということになるのだそう。
では、このアルマ望遠鏡、太陽は観測できるのでしょうか?熱で壊れてしまわないの
でしょうか?下条さんにはフランスの太陽炉の焦点に鉄をかざした映像を見せて
いただきました。数秒のうちに鉄が溶け出してしまう様子は衝撃的です。
アルマ望遠鏡が熱に負けないためには、いろいろな工夫がなされているそうで、
そのうちの一つがパラボラアンテナ表面の絶妙な”凹凸”。この凹凸は熱を持ち込む
可視光や赤外線だけを様々な方向に反射させるので、太陽からの電波をうまく
とらえることができるそうです。
アンテナの数が増えるほど、太陽観測の可能性は広がります。まだ66台すべての
アンテナを使用して太陽を観測したことはないのだそうで、今後の太陽観測に期待が
高まります!
科学ライブショー「ユニバース」は、毎週土曜日に様々なゲストをお招きして科学に
まつわる最新の話題をお届けしています。
ぜひ、科学技術館4階・シンラドームへお越しください。