2016年のノーベル化学賞は、「人工分子マシンの設計と合成」を実現した
フランスのソヴァージュ氏、英国のストッダート氏、オランダのフェリンハ氏に
贈られます。
そこで、本日の科学ライブショー「ユニバース」の2回目(15:30~)の時間は
河合英敏さん(東京理科大学理学部第一部化学科)をお招きして、
「分子マシン SFの世界から現実へ!」
というタイトルにてノーベル賞特別番組をお送りしました。
今年のノーベル化学賞受賞者の3氏は、「分子レベルの大きさの機械」を作り出す
ことに成功しました。機械というと工業的な感じを受けますが、実は私たちの体の
中にもそのようなものがあります。
例えば、体内にあるATP合成酵素という物質は、モーターのようにくるくる回りながら
生体のエネルギー源ともいえるATPを合成します。
3氏が成し遂げたのは、生物の体内にあるものよりずっと小さな分子マシンを人工的に
作り出すことです。一方向に回転する・上下運動する・伸縮する・車のように動くといった
動きをするマシンを、分子レベルの大きさで作ることに成功しました。
このような、非常に小さな、分子レベルの機械を作るためには、そのパーツも効率良く
作る必要があります。
「カテナン」「ロタキサン」といった分子パーツを効率良く作る方法を編み出したことも、
今回の化学賞の授賞理由でした。
本日の講演では、分子の大きさの話から始まり3氏の業績、さらには河合さんとの関わり
など幅広いお話がありました。河合さんは受賞された3氏にも会ったことがあるそうで、
研究について様々な議論を行ったとのことです。
ちょうど今年ソヴァージュ教授にお会いした際に、メモ用紙に図を描いて説明してもらった
ことが、まさに今回受賞した研究の根幹にあたる部分だったとのお話も印象的でした。
人工分子マシンの研究が進むと、さまざまな新しい技術に役立つと考えられているそうです。
例えば、薬剤を積んだ分子マシンを血管に投与して病気の患部に直接届ける、新しい医療
技術の進展に役立つかもしれません。今後の技術の発展から目が離せませんね!
本日1回目のライブショーは通常番組の科学ライブショー「ユニバース」の上演を行い、
野本知理(千葉大学)が案内役を務め「分子の世界」と「重力の不思議」のお話をしました。
今回は特別番組をお送りしましたが、普段の科学ライブショー「ユニバース」でも
毎回様々なゲストをお招きして科学の話題をお送りしています。
ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。
11月26日@科学技術館(ノーベル賞特番)
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