12月22日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、伊藤哲也(国立天文台)が案内役を務め、ゲストに菊田智史さん(総合研究大学院大学/国立天文台)をお迎えしてお送りしました。

ライブショーは「本日の星空」のコーナーにて、午後8時の夜空から始まりました。
西の空には夏の代表的な星座のはくちょう座がまだ見えています。地面に立つ十字の形がクリスマスのシーズンにぴったりです。南の空には秋の四辺形のペガスス座、アンドロメダ銀河、フォーマルハウトや火星、東の空には満月とオリオン座やおうし座、すばる星団やぎょしゃ座が見えます。今、ぎょしゃ座にはウィルタネン彗星が4等で見えています。さらに北の空ではカシオペア座から北極星を見つけることができます。1月4日に極大日を迎えるしぶんぎ座流星群の放射点は、この北天になります。また、1月6日の午前には部分日食があります。どちらも冬休み中に楽しんでみたい天文現象ですね。

続いては地球から宇宙に飛び出して「太陽系の姿」のコーナーに移り、水星から冥王星までを順番に紹介していきました。
さらに太陽系から遠く離れ、私たちが暮らしている地球がある天の川銀河を確認して、数多くの銀河の分布、宇宙の大規模構造を見ました。

その後「ゲストコーナー」に移り、菊田さんに「すばるから銀河へ」というタイトルでお話していただきました。
菊田さんは普段は三鷹にある国立天文台で、銀河の研究をしています。
すばる望遠鏡で撮影したアンドロメダ銀河の写真をはじめ、様々な形や色の銀河の写真をたくさん見せていただきました。
宇宙は変化のない場所だと思っている方が多いかもしれませんが、宇宙には銀河が無数に存在しており、何億年というスケールでは銀河同士の合体や衝突はよく起こっているそうです。その衝突だけでなく、宇宙の大規模構造もコンピュータ上でシミュレーション上で再現できます。いわば、138億年かかる銀河を作る実験ができる、ということです。
さらにすばる望遠鏡での観測について、現場の写真を見せながら詳しく紹介していただきました。
すばる望遠鏡は世界中の天文学者が使いたいと思うような素晴らしい望遠鏡であるため、多くの天文学者が観測提案書を出し、高い倍率の審査に通った限られた人だけが使うことができます。すばる望遠鏡のあるハワイ島のマウナケア山頂は標高4200mであり、大気が薄いので、研究者たちは観測に行く前にハレポハクという標高2800mのところで一晩休んでから山頂に向かいます。どれだけ良い望遠鏡でも、天気が悪いと観測ができません。菊田さんには晴れた時に見られる、すばる望遠鏡と綺麗な星空の景色の写真も見せていただきました。「望遠鏡で観測」というと、人が屋外で行うイメージがあるかもしれません。しかし実際の研究者たちは、望遠鏡の隣の部屋にこもり、何台もあるパソコンに囲まれて望遠鏡を制御し、データを確認しながら観測を進めていきます。
さらにもちろん、すばる望遠鏡のような最先端の観測装置の開発があるからこそ、天文学者はこれらを使うことができます。
この意味で、天文学は観測と理論と装置開発の3つの柱に支えられています。これからの研究の発展が楽しみです。

ゲストコーナーの後は銀河宇宙に戻り、さらに地球から離れて宇宙背景放射を確認しました。
そして、地球に戻って、地球の周りを回っている「国際宇宙ステーション」の紹介の後、本日のライブショーを終えました。

科学ライブショー「ユニバース」では毎週様々なゲストをお呼びして科学の話題をお送りしています。
ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。

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