6月6日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は伊藤哲也(国立天文台)が案内役を
務めお送りしました。
まずは夜の8時の星空を眺めました。夏至が近づいたことで日が沈む時間が
どんどん遅くなっています。西の空をながめると、金星の見つけることが
できます。また、黄道十二星座の仲間である、かに座、しし座、そしてその間には
木星が明るく輝いています。さらに南のほうへ視線を向けると、おとめ座や
うしかい座、また地平線近くには夏の星座の代表格であるさそり座を見つける
ことができます。さらに時間を11時ごろまで進めれば、はくちょう座やわし座
こと座といった夏の星座たちが東の空から上がってきます。
「ゲストコーナー」では早野裕さん(国立天文台ハワイ観測所)に「ピンボケを
なおしてすばる望遠鏡の視力をアップ!」というタイトルで、ハワイから生中継で
お話していただきました。視力を表す数字はどういう意味を持つのでしょうか?
例えば「視力1.0」というのは、「3mはなれたところから1mmのものを見わける
ことができる」ということです。視力が2倍になれば2倍細かいものを見分ける
ことができます。それでは、望遠鏡の視力はどのくらいなのでしょう。
すばる望遠鏡のあるハワイ島マウナケア山は、標高4200mという場所にあるため、
空気が薄く、観測に適した場所といえます。ですが、それでも望遠鏡に入る光が
通ってくる途中の大気のゆらめきのため、天体像が歪んだり動いたりしてぼけて
しまい、すばる望遠鏡の視力はおよそ100になっています。
早野さんには、大気のゆらめきの影響を取り除いて望遠鏡の視力をさらによく
することができる「補償光学」とよばれる装置を紹介していただきました。
補償光学装置は、望遠鏡に取り込まれた光のゆらぎをセンサーで検出し、それに
合わせて鏡を変形させることで像の乱れを補正することができます。この手法を
使うことによって、すばる望遠鏡の視力は1000まで上昇させることができたそうです。
これによって今まで区別できなかった2つの明るい点を見わけることができ、系外惑星
を見つけるのに役立てているそうです。
また、補償光学は望遠鏡だけでなく顕微鏡に応用され始めています。ヒメツリガネゴケ
という植物の葉っぱを千切って水につけておくと、その断面から新たな芽が出てきます。
これは、iPS細胞と同じようにに葉っぱとして出来上がっていた細胞が芽を出す細胞に
変わるのですが、その変化の仕組みはまだよくわかっていません。顕微鏡の視力をよく
すれば、水や細胞壁によってゆらいだ葉緑体の内部をより細かく見ることができます。
望遠鏡だけでなく顕微鏡にも応用できることで、さらに色々なことがわかりそうです。
今後の研究が楽しみですね。
ゲストコーナーの後は、太陽系や銀河の様子、大規模構造まで見に行ったあと、
地球まで戻り、国際宇宙ステーションの姿を見にいきました。宇宙ステーションの
姿は肉眼でも見ることができるので、是非時間を合わせて見てみてくださいね。
科学ライブショー「ユニバース」では、毎週様々なゲストをお呼びして最先端の
科学の話題をお送りしています。ぜひ科学技術館のシンラドームまでお越し下さい。