2月28日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は案内役を大朝由美子(埼玉大学)が務め、
ゲストに加用一者さん(東京工科大学)を迎えお送りしました。
科学技術館から見える青空。冬晴れの今日は太陽が輝いています。太陽は特殊な
望遠鏡を通してみるとどのように見えるのでしょうか?昨日埼玉大学で撮影された
画像を紹介しました。また、太陽観測衛星SOHOで観測された動画では、なんと
太陽に近づいても生き残った彗星も映っていました。太陽と彗星を一気に楽しめる
なんて夢がありますよね。
さて、青空では星は見えません。でも、せっかくだから星が観たい!・・・という
わけで、いま夜の場所、地球の裏側にあるシカゴへと飛び出しました。ここからは
「ライブ天体観測」のコーナーです。気温-18度というシカゴのヤーキス天文台と
生中継のセッションを行いました。シカゴで撮影された土星とM81そしてチリで
撮影された月の画像をビビアンさんの解説と共に楽しみました。


moon.png
図:月
saturn.png
図:土星
m81.png
図:M81

地上から撮影された星空を眺めたところで、今度は実際に星空の世界へ。舞台は
宇宙です。立体的に見える惑星や銀河たちはまさに迫力満点。土星の環をくぐったり、
密集する銀河たちの間を通り抜けたり。このような幻想的な体験はシンラドーム
ならでは。お客さんは歓声を上げていらっしゃいました。気になる方は実際に
体験してみてくださいね。
最後に「ゲストコーナー」です。本日は加用一者さん(東京工科大学)に「干し草の
山に重力レンズを探す」と題してお話いただきました。水を張ったコップの後ろに
マスコットを置いて正面から眺めてみてください。何が起こると思いますか?実は、
マスコットが大きく広がって見えます!これは水により光が曲げられるために
起こる現象。実はこの現象、宇宙でも起きています。それが本日の鍵となる
「重力レンズ」です。遠い遠い宇宙には、星のように点状に見える銀河があります。
これをクエーサーと呼び、現在数十万個のクエーサーが見つかっています。クエーサーの
前にたまたま別の銀河があると、その銀河はコップの役割を果たし、クエーサーが
マスコットとなって重力レンズが起こります。このような現象は30年間でたったの
百数十個しか発見されていません。満天の星空が広がるハワイに設置されたUH88
望遠鏡やすばる望遠鏡を使って、加用さんたちはこの探索を行なっています。
加用さんたちは5万個から選んだ500個の候補を15年かけて一つ一つ観測し、
そのうち50個が実際に重力レンズであることを突き止めました。現在知られている
百数十個のうちの1/3を占めることになります。5万個から50個を見つける、
まさにこれは、干草の中から針を探すという言葉を具現化していますね。またごく
最近導入された新しい観測装置により、さらに多くの重力レンズが発見される
かも・・楽しみですね。
そんな宇宙の不思議に想いを馳せたところで、遠い銀河の世界から地球へと戻り、
科学技術館に着陸したところで本日の上演はお開きとなりました。
科学ライブショー「ユニバース」では、毎週様々なゲストをお招きし、楽しい
科学の世界を紹介しています。ぜひシンラドームに足をお運び下さい。