5月30日@科学技術館  講演会 国際宇宙ステーション(ISS)特別企画 「宇宙に行こう!」

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国際宇宙ステーション(ISS)が完成に近づき、現在、長期滞在している宇宙飛行士若田光一さんを含む乗務員により建設が進められ、来月には日本実験棟「きぼう」が完成する予定です。そこで国際宇宙ステーション特別企画 講演会「宇宙に行こう!」と題し、宇宙旅行や宇宙「生活」のこれからを4人の方々にお話頂きました。
・「宇宙旅行は夢じゃない」緒川修治さん (PDエアロスペース株式会社)
・「宇宙空港を作ろう」秋山演亮さん (和歌山大学)

・「小惑星への往復: はやぶさから有人探査へ」矢野創さん (宇宙航空研究開発機構)
・「宇宙に住もう」戎崎俊一さん (理化学研究所)
最初の「宇宙旅行は夢じゃない」は、緒川修治さん(PDエアロスペース株式会社)による宇宙と地球を往復する乗り物のお話です。宇宙、つまり100km以上上空には酸素が無いので通常のジェット機等では行くことができません。そこでロケットやスペースシャトルが必要となるのですが、非常に高価なため一般の人でも相当なお金を払えば行けるものの、まだまだ縁遠い世界でした。宇宙旅行を手の届くものにするために、今、世界では民間による宇宙往還機(行って帰ってくる)の開発が行われており、Xprizeといったコンテストもありますが、日本で開発している人はいませんでした。そこで、緒川さんの会社は独自に往還機の開発を進め、日本の技術で、より安価な宇宙旅行の夢を実現させるため頑張っているそうです。
次の「宇宙空港を作ろう」は、秋山演亮さん(和歌山大学)による宇宙往還機が将来発着するであろう「宇宙港」のお話です。往還機が宇宙から帰ってくるときはグライダーのような動きで燃料をほとんど使わずに戻ってくるため、非常に長い距離の滑走路が必要となり、従来の空港とは別の施設が必要になるそうです。また、将来的には、現在のようにただ宇宙に行って帰ってくるだけでなく、宇宙空間を経由する弾道飛行を用いることで、世界中に90分ほどで行くことができるようになり、その時、宇宙港は非常に重要な拠点になるとのお話でした。
3番目の「小惑星への往復:はやぶさから有人探査へ」は、矢野創さん(ISAS&JSPEC, JAXA)による宇宙に出る時の大きな目標になるであろう小惑星のお話です。
日本の打ち上げた宇宙探査機に「はやぶさ」がありますが、これは、小惑星に行ってその物質を取ってくること(サンプルリターン)を目的としており、それまでの探査機と異なり、
月より遠い天体に着陸して再び地球に帰ってくる世界初のミッションとなっています。
この技術を日本でさらに成熟させ、米国がシャトル後継機として開発中の次世代有人宇宙船を融合させることで、近い将来、無人探査機だけでなく人類も小惑星まで行って帰ってくることが可能となります。さらなる未来には、小惑星への有人往復探査技術を足場に、火星など他の太陽系天体への往復探査も実現できるようになるだろう、とのことでした。
最後の「宇宙に住もう」では、戎崎俊一さん(理化学研究所)による、ヒトが地球圏だけでなく小惑星も含めた大きな生活圏を持つ未来についてお話です。宇宙には大気が無いため地球よりも相当効率よく太陽光発電ができます。そこで、小惑星を太陽光発電の基地にして、レーザーで地球にエネルギーを送るシステムの研究が進んでるそうです。また、それだけでなく、小惑星には水や金属等の資源があり、さらに太陽光発電を用いれば、小惑星内で生活し、宇宙農場を作ることも可能なのではないかとのことでした。