6月1日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、伊藤哲也(国立天文台)
の案内でお送りしました。
はじめに本日の星空を西側の空から見ていきました。西の空にはふたご
座やこいぬ座などの冬の星座、南の空にはおとめ座やうしかい座と
いった春の星座に加えて土星の姿を見ることが出来ました。さらに
東の空に目をやると、こと座のベガなど夏の星座が地上から顔を
覗かせていました。
次に「実感太陽系」と題して太陽系の大きさを皆さんに想像して
もらいました。シンラドームに太陽に見立てた電球を置いたとき、
惑星はどこに、どれぐらいの大きさになるのでしょうか。きっと
驚きますよ!
「ゲストコーナー」では日本大学理工学部航空宇宙工学科の阿部新助さんに
「地球衝突天体~ロシア隕石落下と探査機はやぶさ地球大気再突入」
と題してお話していただきました。
「流星を見たことありますか?」の問いから始まり、内惑星軌道に接近・交差する
地球近傍天体(NEO)について説明していただきました。今日までに、NEOは
約1万個程発見されていて、その中でも地球の軌道にかなり近づく地球衝突危険
性天体(PHO)は1400個ほどあります。小天体とは、彗星、小惑星、メテオロイド
(流星)の総称です。小惑星は大きさが10m以上の小天体で、ガス活動を伴うものが
彗星です。典型的な彗星は、約8割が水の氷で出来ています。また、大きさが
10m以下のものをメテオロイドと呼び、地球には毎日100-300トン、1年間で
4~10万トンものメテオロイドが降り注いでいます。その殆どが、マイクロ・
メテオライトと呼ばれる大きさがミクロン・サイズ以下の微小ダストです。流星
発光として肉眼で見えるものは、大きさが数百ミクロンからミリ・メートル程度の
もので、特に明るさが金星くらい明るいものを火球、さらに爆発を伴うようなものを
ボライドといい、隕石落下を伴うこともあります。流星発光(アブレーション)を生き
残り、地球の表面まで落下したものが隕石で、毎年陸地には数十個程度の隕石
落下が確認されていますが、海上も含めて正確な数は分かっていません。
2013年2月15日にロシアに落ちたチェラビンスク隕石の動画を見せていただき
ました。この隕石の成分を調べると小惑星イトカワと似たLLタイプのコンドライト
だという結果がでました。チェラビンスク隕石のような直径20mサイズの小さ
な小惑星の99%以上の存在は分かっていないそうです。また、はやぶさから取得
したイトカワのリモート観測データ(重力、体積、対応隕石種の平均密度など)
から、イトカワの空隙率が40%程度と考えられ、小惑星は一度ばらばらになった
ものが再び重力によりくっつきあった「ラブル・パイル」ということが証明されました。
地球衝突危険性天体である小惑星イトカワ由来の隕石も地球に落ちて来ている
可能性があります。
そして、はやぶさが地球に戻ってくる時の映像を見せていただきました。明るさは
-12.6等と満月ほどに明るくなりました。探査機の破壊強度は、隕石の1000分の1
(1-50MPa)と構造としてもろいことが分かります。カプセルは先に切り離されて
大気突入を生き残り、探査機本体は地球大気に突入し、高度約47kmまで流星
発光しながら消えて行ったそうです。その発光の強さを波長ごと(色別)に見て
いくと、はやぶさに使用されていた物質(鉄、マグネシウム、銅、チタン、アルミ、
モリブデン、リチウム、キセノンなど)特有の光が強く、とても分かりやすく見えて
いました。