7月27日ゲストコーナー@科学技術館

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7月27日「ユニバース」の「ゲストコーナー」は、
「小麦粉の不思議な世界と」というテーマで
山田昌治さん(工学院大学工学部応用化学科)
にお話していただきました。
「ライブ天体観測」や太陽消滅など”宇宙の話”をしていた中で”小麦粉の話”。
「さて、どのように宇宙と結びつけようか」とご丁寧に考えてきてくださいました。
どのように宇宙につながるか楽しみにしつつ、
最初に「小麦粉で作られる食品は?」という質問からコーナーが始まりました。
学会発表でもおなじみというこの質問。
うどんやパン、パスタなどをはじめ、そばのつなぎやクスクスという料理まで、
小麦粉は主役から脇役までマルチに活躍しています。
さて、小麦粉はどうやって”粉”からパンやうどんなどの”生地”になるのでしょうか?
デンプンが糊のようになって・・・と思う方もいらっしゃると思いますが、
デンプンの糊化温度は60℃くらいです。では、何が粉を生地にさせるのでしょうか?
その答えは小麦粉に10%くらい含まれるタンパク質にあります。
小麦粉と水を混ぜることによって、タンパク質と水が結合してグルテンができ、
練っていくことによってグルテンがつながっていき、巨大なポリマーに
つまり、生地になるそうです。
ちなみに、パンを作るためには薄い膜のような生地になるまで
しっかりこねてくださいとのこと。こねすぎも逆効果だそうです。
パン生地はまるで風船のよう。
ということで、生地にパン酵母をまぜると、
酵母の発酵によってできる炭酸ガスが生地を膨らませ、焼き上げるとパンになります。
おいしいパンを作るためには、パン酵母が生地にどのように散らばっているかが大切です。
その散らばり方を山田先生は研究しています。
パン酵母が生地にどのように散らばっているか、顕微鏡で観察してみよう。
としても、生地もパン酵母も白くてよく見えない・・・。
ということで、山田先生のグループはパン酵母の遺伝子を組み換えて、
酵母の表面にオワンクラゲの蛍光タンパク質が出るようにしました。
生地中のパン酵母の散らばり方が蛍光顕微鏡ではっきり見えるようになりましたが、
あまりに明るく光るので、なんと酵母のまわりの生地の構造も見えるようになりました。
これは学会でも参加者にビックリされたそうです。
パン酵母が生地を明るく照らす様子は、
まるで散光星雲が恒星の光によって輝くよう。
小麦粉生地の中に小宇宙を見ました。