11月12日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、矢治健太郎(国立天文台)が
案内役を務め、一回目は通常の上演、二回目は『ノーベル生理学・医学賞特別番組』
としてお送りしました。
2016年のノーベル生理学・医学賞は、大隅良典氏(東京工業大学特任教授)が、
「オートファジーの仕組みの解明」により受賞しました。
そこで、本日2回目のユニバースではノーベル賞特別番組として、
上野隆さん(順天堂大学大学院医学研究科研究基盤センター客員教授)に
「ATG遺伝子のインパクト-大隅良典先生ノーベル生理学・医学賞受賞の意義」と
題して、大隅先生の研究内容である「オートファジー」についてお話いただきました。
オートファジー(autophagy)は、自分(auto)を食べる(Phagy)という意味の
ギリシャ語です。自分を食べるってどういうことでしょう?
それは細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するということです。
このオートファジーは、人間が活動するために必要な必須アミノ酸が不足したとき、
すなわちお腹が空いて栄養が不足しているときに活発に起こり、細胞内に存在する
タンパク質を分解することでアミノ酸を生成し、アミノ酸の不足を避けるために行われます。
細胞が自分の中のタンパク質を分解、つまり「食べる」というオートファジーの仕組みの
おかげで、人間は飢餓状態にあっても多少の期間であればその生命を維持することが
できるのです。
このオートファジーは、細胞内にあるリソソームという器官で行われています。
リソソームは1955年に肝臓の代謝の研究中に偶然発見されました。
そしてリソソームの働きの一つとしてオートファジーが提唱されました。
アミノ酸が不足したとき細胞内にオートファゴソームという膜小胞が形成され、
これがリソソームと膜融合をすることでオートリソソームが形成されます。
このオートリソソームによって細胞の内在基質であるタンパク質が分解され、
アミノ酸に分解されます。この一連の働きがオートファジーと呼ばれるものです。
オートファゴソームがオートリソソームへ移行するのにかかる時間は、
たったの数分から十数分の間。こんなに短い時間では働きがよく観察できない!
ということで、オートファジーの研究は停滞してしまいました。
しかし、その研究の鍵となるATG遺伝子が発見されたことによって、大いに発展しました。
大隅先生はこのATG遺伝子を発見したのです。
大隅先生は、出芽酵母という酵母を使ってATG遺伝子を発見しました。
出芽酵母では、動物のリソソームにあたる器官として液胞が細胞質に拡がっています。
タンパク質の分解を起こさせなくする(液胞プロテアーゼ阻害をする)と、
オートファゴソームが液胞にたまりオートファジーが機能しないことを発見しました。
この発見がさらにオートファゴソームの形成に必要な因子の発見につながり、
オートファジーの研究の発展に大きく貢献したのです。
人間の体には、まだ知られていない仕組みや機能がたくさん存在し、多くの研究者たちが
その謎について研究しています。
さらなる謎が解明される日も近いかもしれませんね。
そして本日の『ノーベル生理学・医学賞特別番組』に続き
11月26日(土)は、2016年ノーベル化学賞「分子マシンの設計と合成」に関連する
研究分野の研究者をお招きし、この業績の意義について講演いただく
『ノーベル化学賞特別番組』をお送りいたします。
■講師   :河合 英敏 先生(東京理科大学理学部第一部化学科)
■タイトル:「分子マシン SFの世界から現実へ!」
■詳細   :http://www.jsf.or.jp/info/2016/11/post_876.php
受賞業績の解説だけでなく、
最新の研究との関わりまでわかりやすく解説していただきます。
もちろん、毎週土曜日の通常上演でも様々なゲストの方をお招きして、
最新の科学の話題をお届けしていますよ。
ぜひ、科学技術館4階シンラドームへお越しください。