11月4日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は伊藤哲也(国立天文台)が案内役を務め、ノーベル賞特別講演会として、2017年ノーベル物理学賞と医学生理学賞の受賞内容に関連した特別番組を上演しました。

本日一回目のユニバースでは、「重力波観測は物理学から天文学へ」というタイトルで大阪工業大学,日本の重力波干渉計KAGRAプロジェクト・サイエンス部門実行委員長の真貝寿明さんにお話ししていただきました。
本年のノーベル物理学賞の受賞者は、レイナー・ワイス(Rainer Weiss)博士、バリー・バリッシュ(Barry C. Barish)博士、キップ・ソーン(Kip S. Thorne)博士の三名でした。授賞理由は、LIGO検出器および重力波の観測への決定的な貢献となっています。
講演は、「重力波とは」「直接観測された重力波」「重力波観測の将来」のテーマで行われました。
実は、重力波の存在を間接的に証明したのは1974年の連星パルサーの発見であり、発見したハルスとテイラーは1993年にノーベル物理学賞を受賞しています。そして、今回は重力波を直接観測したことが功績として挙げられました。
重力波やLIGO検出器の仕組みについて知りたい方は真貝さんにご出演いただいた2016年5月7日の「ユニバース」重力波検出記念講演会@科学技術館をご覧ください。
今回は重力波の検出からおよそ一年半での受賞となりました。これだけ短い期間で受賞が決定したということから重力波の検出が非常に重要だとノーベル財団(スウェーデン王立科学アカデミー)に認識されたということが伺えます。では、これからの重力波天文学はどうなるのでしょうか。真貝さんによれば、観測器を宇宙へ打ち上げて重力波を宇宙で観測する計画があるそうです。すでに欧州のESAでは重力波宇宙干渉計LISAの予算が承認されました。この観測器は腕の長さが250万kmあり、地球の公転軌道を周回しながら観測をするようです。打ち上げは2034年を予定しています。また、日本にもDECIGOという重力波宇宙干渉計を打ち上げる計画があります。そして、重力波観測がすすめば、宇宙の天体の姿がより詳細にわかるようになることが期待されたり、アインシュタインの一般相対性理論がどれだけ正しいかを検証することができることなどが期待されています。そして、天文学はマルチ・メッセンジャー天文学の時代へと移り変わっていくとされています。宇宙から届く様々な波・光をそれぞれの波長に合わせた観測機器を用いて観測していく時代です。重力波は電波よりさらに長い波長をもつ波で,いままでの波長にない情報を天文学にもたらします。
今回のノーベル賞の受賞理由に挙げられたLIGO検出器はアメリカの装置ですが、真貝さんは日本にある重力波の検出装置であるKAGRAの計画にかかわっています。KAGRAは神岡鉱山の地中に建設されています。真貝さんによれば KAGRAを地中に建設するメリットは,地面の振動を小さく抑えることができてノイズの少ない観測ができることだそうです。また、KAGRAは鏡の温度をマイナス250度まで下げて熱雑音を下げる工夫もするそうです。
KAGRAによる本格的な観測は2020年に始まる予定です。日本で重力波観測ができる日が待ち遠しいですね。
ノーベル物理学賞2017とLIGO、KAGRAについては以下のリンクからご覧ください。
<ノーベル物理学賞2017>https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/2017/press.html
<LIGO>http://ligo.org/
<KAGRA>http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/
また、真貝さんが使用したスライドは以下のリンクから見ることができますので、こちらもぜひご覧ください。
http://www.oit.ac.jp/is/~shinkai/Viewgraphs/201711_ScienceMuseum.pdf

本日二回目のユニバースでは、「ノーベル賞を受賞したショウジョウバエの時計遺伝子と私たちの体内時計のしくみ」というタイトルで名古屋市立大学 大学院薬学研究科の粂和彦さんにお話ししていただきました。
本年のノーベル学賞の受賞者は、ジェフリー・ホール(Jeffrey C. Hall)博士、マイケル・ロスバッシュ(Michael Rosbash)博士、マイケル・ヤング(Michael W. Young)博士の三名でした。授賞理由は、概日周期を生み出す遺伝子機構の発見となっています。
講演は、概日周期とはどんなものかというお話からはじまりました。概日周期は生物がおよそ一日の周期で活動することで、そのためにもっている時計のようなはたらきを俗に体内時計と呼びます。普段の生活でも耳にする言葉ですが、今回の研究がされるまでは、体内時計がどういった仕組みであるのかということや、体のどこにあるのかあまりよくわかっていませんでした。
世界で最初に発見された体内時計として、17世紀にドメランがオジギソウで発見した概日周期運動が知られています。オジギソウは昼に開いて夜に閉じますが、オジギソウを一日中真っ暗な箱に入れていても、朝の時間になると葉が開くそうです。このように外の光を受けなくてもオジギソウは体内時計で朝に葉を開くことができるそうです。
今回の受賞された研究ではショウジョウバエの体内時計を生み出す遺伝子を特定したことで受賞されましたが、爪楊枝の先ほどの大きさしかないショウジョウバエはノーベル賞の常連さんです。今回の受賞で5回目の登場になりました。
1970年代にベンザーという科学者が人為的に遺伝子の異常を引き起こしたショウジョウバエの中から、体内時計の異常を見つけました。彼は、この研究で一つの遺伝子が一つの行動(この場合は活動の概日周期)を制御できることを発見しました。そして、今回の研究は、その遺伝子と機能を特定したのです。
講演の後半では、より詳しい体内時計の仕組みや成り立ちについてや、医師として睡眠障害を専門に診ている先生の視点から体内時計と健康についてお話していただきました。粂さんは受賞のあったショウジョウバエの体内時計の機構の研究を元に人間の体内時計の機構の未解明であった残りの1ピースを発見しています。この発見が人間の睡眠に関する病気の治療につながるそうです。今後の研究が進んで人間やその他の生物の体内時計の仕組みがより詳しくわかるようになるといいですね。
また、粂さんは今回のノーベル賞の内容について以下の記事を書いていますので、こちらもぜひご覧ください。
http://gendai.ismedia.jp/articles/53418

ノーベル賞特別講演会は次週11月11日2回目(15時〜)のユニバースに続きます。次回はノーベル化学賞の話題について東京大学の吉川雅英さんにお話していただく予定です。
科学ライブショー「ユニバース」では毎回異なるゲストをお招きして土曜日に科学技術館にて上演しています。
近くへお越しの際はぜひご来場ください。

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