11月18日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、矢治健太郎(国立天文台)が案内役を務め、田中良昌さん(国立極地研究所)をゲストにお迎えしてお送りしました。

今回のライブショーは「太陽系の姿」から始まり、木星の自転周期や土星の輪くぐりなど、各惑星の特徴を紹介していきました。外縁天体まで紹介した後は、最近の太陽活動について紹介しました。最近の太陽は黒点も少なく、落ち着いているそうです。その後は地球に降り立って、「季節の星空」のコーナー。秋から冬にかけての星座を紹介していきました。「ライブ天体観測」ではシカゴのヤーキス天文台から、オリオン座大星雲など3つの星雲を紹介していただきました。


図:オリオン大星雲

「ゲストコーナー」では、田中良昌さん(国立極地研究所)をお招きし、「オーロラの本当の形を知りたい」という題目でお話しいただきました。

田中さんの所属してる国立極地研究所は、東京都立川市に本部を構え、北極や南極などの極地環境の観測や実験を行っている研究所です。田中さんはここで、「オーロラ」の研究をしています。まずはゲストコーナーの初めに、その「オーロラ」の立体ドーム映像をご覧いただきました。田中さん自身、第57次南極地域観測隊(夏隊)に参加して、オーロラ観測を行っています。昭和基地の夏は、皆さんが想像しているような雪に覆われているわけではなく、地表の土も見えています。気温も日中はだいたい0度くらいで、活動内容も観測装置の設置や建物の建設のような土木作業が多いそうです。

最初に、「オーロラの高さはどのくらいでしょうか?」とクイズを出しました。飛行機やスペースシャトルが飛ぶ高さか、はたまた月の高さか?正解は、スペースシャトルや国際宇宙ステーションの飛行高度である、地上100kmから400kmくらい(電離層)の高さです。国際宇宙ステーションから見えるオーロラは、横あるいは下向きに、地球に張り付いて発生しているように見えるんだそうです。非常にきれいなオーロラですが、そもそもオーロラはなぜ光るのでしょうか?簡単に言うと、地球そのものが磁石として働いていて、宇宙空間にある電気を持った粒子が地球の磁力線に沿って北極や南極に降ってくることで大気に衝突、その時に生じたエネルギーが光として現れるのです。カーテン状のオーロラをよく写真で見ますが、そのヒダは磁力線の向きによって決まるんですね。

また、オーロラの発生位置によってオーロラの形が変わります。空の低い位置ではカーテン状に、やや空の高い位置だとアーク状(アーチ状)、さらに直上だとコロナ状(放射状)と呼ばれる形に見えます。この形を2地点から観測すると、三角測量によってオーロラの高さを測定することができます。さらに、距離の離れた複数の観測点での観測結果を使って、オーロラの3D形状が推定できるのです。これらの結果からオーロラの光る高さを知ると、宇宙から降ってくる粒子のエネルギーの情報を知ることができます。

オーロラの形を知ることは、宇宙にある粒子の様子を知ることにつながるんですね。

ゲストコーナーの後は、宇宙の果てまで飛んでいき、銀河の世界や大規模構造などを見た後、地球へ戻ってきてライブショーを終えました。

科学ライブショー「ユニバース」では、毎週様々なゲストをお呼びして科学の話題を送りしています。ぜひ科学技術館4階シンラドームへとお越しください。

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