2月23日@科学技術館

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本日は過ごしやすい陽気に恵まれました。花粉症の方には辛い時期かもしれません。
「ライブ天体観測」では、シカゴにあるヤーキス天文台のビビアンさんから土星の写真を送ってもらいました。土星の輪や衛星をはっきりと見ることができました。

「ゲストコーナー」では、JAXAの海老沢研さんに「宇宙とX線と相対性理論」と題してお話をしていただきました。光には、可視光だけでなく、人の目には見えない紫外線や赤外線が存在します。X線はレントゲン検査で知っている人がいるかもしれませんね。高温の物体は光を出すのですが、一千万度程度になるとX線が出てきます。しかし、X線は大気に遮られてしまうため、地上には届かず宇宙に望遠鏡を打ち上げないと観測することができません。ところで、相対性理論は光速に近い速さで運動しているときや重力が大きいときなど、どちらも身近では起こりにくい現象を記述するものです。しかし、宇宙ではこのような現象が起きていて、相対性理論が不可欠です。その一つとしてブラックホールがあります。ブラックホールの強い重力によってその近くにある星から物質が落ちてゆき、それは光速に近い速度となります。「物質が落ちる時の速度が光速になるほど重力の強い天体」がブラックホールと考えても構いません。物質は渦を巻いて落ちていくので、ブラックホールの周りに円盤ができます。その円盤が光速に近い速さで回っていて、その内部の摩擦熱で円盤は1000万度以上の高温になり、X線が放出されます。このX線を詳しく観測することにより、ブラックホールの回転速度や重力の強さ、質量などが分かるそうです。X線の天文学で、ブラックホールの解明が進むといいですね。
図:ヤーキス天文台から送られてきた土星の画像