本日の科学ライブショー「ユニバース」は、平松正顕(国立天文台)が案内役を務めました。
まずは「本日の星空」のコーナーから始まりました。今日の18時、南西の空には月、土星、木星が見られます。このとき東の空にはオリオン座が見られます。21時になると、東の空にあったオリオン座が南の空にのぼってきます。オリオン座の周辺には、おうし座やふたご座が見られます。これらの星座は空の明るい東京でも比較的よく見ることができるので、晴れた夜にはできるだけ暖かい格好で探してみてください。
また、この中には天文学者が注目している天体がいくつもあります。まずはオリオン大星雲。生まれたばかりの赤ちゃん星が集まっている星雲です。実は、星は生まれたり、死んだりします。太陽も約46億年前に生まれ、約50億年後に死ぬと考えられています。そして、赤ちゃん星の周りには惑星ができることがあります。おうし座HL星はちょうど惑星が作られる段階にある星で、星の周りをまわっている砂粒がくっついていくことで惑星ができます。また、若い星だけでなく、オリオン座のベテルギウスのような年老いた星もあります。年を取ったベテルギウスはまん丸ではなく、少し歪んだ形をしています。そして、ベテルギウスのように大きな星が死ぬ時には大きな爆発(超新星爆発)を起こします。おうし座にある”かに星雲”は、爆発して死んでいった星の残骸です。このように、空では生まれたばかりの星から死んでしまった星の残骸まで見ることができます。とてもにぎやかですね。
次に、今回は2022年最初のライブショーということで、今年注目の天文現象を紹介しました。まずは満月。1月18日に見られる満月は、今年最も小さく見える満月なのだそうです。といっても本当に月のサイズが変わっているわけではありません。地球と月の距離が一定でないため、月との距離が近くなる時と遠くなる時があり、それによって月の大きさが変わって見られます。ちなみに、今年満月が最も大きく見られるのは7月14日です。
続いて流星群。みなさんは流星を見たことがありますか? まだ見たことがない、という方には8月のペルセウス座流星群がおすすめです。寒い時期では、12月のふたご座流星群でも多くの流星が見られます。そして皆既月食。昨年5月にもありましたが、今年は11月8日に見られます。
さらに、天文学者が注目しているトピックの1つが「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)」です。人よりもはるかに大きな望遠鏡が折りたたまれた状態でロケットに詰め込まれ、打ち上げられる様子を一緒に見ていきました。打ち上げ後は、折りたたまれた望遠鏡が自動で開いていきます。31分後に太陽電池が開き、3日後には望遠鏡に光が当たらないようにするための”帆”のような日よけが開いていきます。13日後には望遠鏡の鏡が開いて完成します。ちなみに、鏡は本日21時に開く予定です。また、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はハッブル宇宙望遠鏡の約3倍の大きさで、非常に高い性能を持っています。また、宇宙に望遠鏡を持っていくことで、天候や地球の大気に邪魔されることなく観測することが可能です。さらに、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線での観測もできます。例えば、オリオン大星雲のような場所を赤外線で見ると、雲を透かして見ることができるため、可視光の観測では雲に隠されていた赤ちゃん星などの天体を調べやすくなります。これから半年ほどテストをおこない、その後観測が開始されるようですが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でさまざまな宇宙の様子が調べられることが期待されています。
最後の「宇宙の果てへ」のコーナーでは、地球を飛び出して太陽系、天の川銀河やそのほかの様々な銀河を通り抜けて、宇宙の大規模構造までの様子を紹介しました。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は宇宙の果てを観測することも期待されています。成果が楽しみですね。
科学ライブショー「ユニバース」では毎週様々な科学の話題をお送りしています。
ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。