8月24日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、矢治健太郎(国立天文台)を
案内役にお送りしました。
まずは太陽系内の天体について紹介していきました。本日は、特に木星を
クローズアップしました。木星は太陽系最大の惑星で、直径は地球の11倍ほどあります。
自転周期は約10時間と短く、60個以上の衛星が現在のところ見つかっています。
また、木星大気によって形成された大赤斑という非常に大きい渦があることでも有名です。
本日の「ライブ天体観測」の目玉はM57(環状星雲)です。なんと先日発見された
ばかりの超新星SN2013evも一緒に写っていました!M57は太陽と同じくらいの質量の
星のなれの果てで、天の川銀河の中にあります。対して、SN2013evは太陽の8倍以上の
質量の恒星が爆発したもので、系外銀河のIC1296の中にあります。対照的な2つの
天体が一緒に写っていて、印象的でした。新発見の天体に負けじと、M57の星雲の
元となった星と、この星の放出によってできたガスの環状構造がとてもきれいに写って
いました。


M57.png
M57_IC1296_SN2013ev.png

「ゲストコーナー」は、葛原昌幸さん(東京工業大学地球惑星科学専攻)に、
「すばる望遠鏡、太陽系”外”惑星の写真撮影に挑戦」というタイトルで
太陽系外惑星の直接撮像についてお話していただきました。
太陽系外惑星とは、太陽以外の恒星を中心として公転している惑星のことです。
系外惑星は、現在まで、1000個程度見つかっています。代表的なものとしては、
中心星の非常に近くを公転してアツアツになっている木星型惑星「ホットジュピター」や、
地球と海王星の中間の質量と大きさを持つ新しいタイプの系外惑星「スーパーアース」が
あります。これらの系外惑星は、これまで間接的な方法で観測されてきました。
その方法のひとつがトランジット法という方法です。トランジット法は、 惑星による
中心星の食の際に、中心星の光の減光を利用した観測方法です。これに対して
直接撮像では、直接、系外惑星からの光を観測します。惑星自身は赤外線で
光っています。 葛原さんたちのグループは、すばる望遠鏡を用いて、GJ504bという
惑星の直接 撮像に成功しました。GJ504bは、GJ504を中心星とする木星サイズの
系外惑星で、中心星から44天文単位ほど、太陽‐海王星間の距離よりも遠いところを
公転してます。GJ504bは太陽系の木星の4倍の質量があり、表面温度は240℃で、
私たちの眼には赤紫色に見えると予想されているそうです。中心星のGJ504は、
おとめ座の左下にある肉眼でも見える星(5等星)で、私たちの住む太陽系から
60光年離れたところにあります。おとめ座を見る機会がありましたら、ぜひ探して
みてください!今回、葛原さんたちのグループによって発見されたGJ504bは、
これまでに見つかった太陽に似た恒星を中心星とする木星型惑星の中で最も
軽くて低温だそうです。今後は、第二の”木星”から第二の”地球”の直接撮像に
期待ですね。