8月16日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は伊藤哲也(国立天文台)が案内役を
務めお送りしました。夏休みも中盤にさしかかり、2回とも満員のお客様を
お迎えしての上演となりました。
まずは本日20時の星空をみなさんと見ていきました。今週は天文現象が目白押し
だったのですが、台風11号の影響や雲でなかなかきれいな夜空を見ることが
できませんでした。しかしこのシンラドームなら科学技術館から見える雲のない
夜空をいつでも見ることができます。西の空にはまだ春の大曲線を形作る星たち、
そして火星が見えました。その左隣に土星、さらに隣には火星によく似た赤い星、
さそり座のアンタレスが見えます。東にはみなさんご存知の夏の大三角が見えて
います。
次は地球から飛び出し、太陽系を見ていきました。8月12日はスーパームーンと
呼ばれる現象が起きていました。スーパームーンとは月と地球が最も近づき、
普段より大きく見える満月を指します。ではなぜ月の大きさが変わるのでしょう?
それは月の軌道に秘密がありました。月は地球の衛星として地球の周りを回って
いますが、その軌道は実は楕円を描いているのです。そのため、月と地球の距離は
日々変化し、見える大きさも変わるのですね。さらに8月12~14日にはペルセウス座
流星群の極大を迎えました。流星群が毎年同じ時期に見られるのは彗星と地球の
軌道に関係があります。彗星が残した砂粒が地球に落ちてくることで、流星として
見えます。シンラドームでも流れ星を見ることができました。
さて、次は太陽系を離れ銀河宇宙の世界へ。太陽系のある天の川銀河はつぶれた
どらやきのような形をしており、横から見るとなにやら黒い筋が見えました。
これは地球から見る天の川にも同じように見られますが、実はガスや塵によって
光がさえぎられたために黒く見えてしまうのです。このガスや塵は星が形成される
材料であると考えられています。天の川銀河のほかにも宇宙には様々な形や大きさの
多くの銀河が広がっています。このような銀河を包み込む宇宙はどのような構造を
しているのでしょうか、宇宙の果ての謎に迫りたい方はぜひ確かめにお越しください。
本日の「ゲストコーナー」は久保田晃弘(くぼた あきひろ)さん(多摩美術大学・
ARTSAT)をお招きして「宇宙×芸術:芸術衛星から深宇宙彫刻へ」と題して
お話ししていただきました。今年の2月28日、多摩美術大学と東京大学によって
作られた芸術衛星INVADERが種子島から打ち上げられました。この衛星はキューブ
サットと呼ばれる大きさ10cm角、重さ1.8㎏の小さな衛星でH-IIAロケットで
打ち上げられる気象の観測衛星に相乗りしたものです。このINVADERは合成音声を
送信する機能や小さなカメラが搭載されており、本日は実際に宇宙から最初に
発信された信号“First Voice”の録音を聞かせていただきました。これは衛星が
きちんと機能しているかどうか確認する緊張の瞬間だったのだそうです。2回目の
上演ではちょうど日本の上空にINVADERが通過するということで、ライブで実際の
信号を聞くこともできました。久保田さんたちはこの衛星を使って、衛星に関連した
芸術作品を制作しています。さらに今年12月には、2つ目の芸術衛星としてDESPATCHが
はやぶさ2に相乗りし打ち上げられる予定です。こちらはINVADERとは異なり、大きさ
50cm角でうずまき状の形をしています。正面から見るとまるで花のよう。彫刻作品を
宇宙に打ち上げる世界初の試みです。世界中で協力し、電波を受信する予定なのだ
そうです。楽しみですね。久保田さんが所属しているARTSAT:衛星芸術プロジェクトも
参加している展覧会『ミッション[宇宙×芸術] コスモロジーを超えて』が東京都
現代美術館で8月31日まで行われています。この機会にぜひご覧になってはいかが
でしょうか。
最後は国際宇宙ステーションISSの話題をお届けしました。日本人宇宙飛行士である
若田光一さんは昨年11月から約6か月間ISSに滞在し、今年の5月無事帰還しました。
そして日本人で初めてISSの船長に就任し、全国各地でその報告会が開催されています。
シンラドームではISSの様子を3D CGで見ることができますが、実際に空を通過する
ISSは時間を調べて肉眼で観察することができます。詳しくは「きぼうを見よう」を
ご覧ください。
科学ライブショー「ユニバース」では毎週様々なゲストをお呼びして科学の話題を
お送りしています。ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。