10月8日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、矢治健太郎(国立天文台)が案内役を務め、
ゲストに臼田知史さん(国立天文台TMT推進室)をお迎えしてお送りしました。
今週はノーベル賞ウィークということで、話題のノーベル賞受賞者の話題からスタート。
今年の医学・生理学賞はなんと日本人の大隅良典さん(東京工業大学栄誉教授)が単独受賞!
人間の酵母の働きである「オートファジー」の仕組みを解明したことで脚光を浴びました。
物理学賞は、超伝導などの原理を「トポロジー(位相幾何学)」という概念で解明した
アメリカの研究者三人に、
化学賞は、意図的に動かすことのできる「分子機械(ナノマシン)の設計と合成」に成功した
フランス・アメリカ・オランダの研究者三人に、
平和賞は、コロンビアのファン・マヌエル・サントス大統領に贈られました。
コロンビアには科学館や美術館が多くあり、今週と来週には天文学の大きな国際会議も
あるのだとか。天文学でも注目されている国です。
続いて「ライブ天体観測」のコーナーへ。
アメリカのヤーキス天文台にいるコリーさんと中継をつないで、天体の写真を紹介して
いただきました。今日のアメリカの天気は良好!広がった雲のような形をしている「かに星雲」、
輪っかのような姿をしている「リング星雲」、渦巻構造の「渦巻銀河」を見せていただきました。


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図:渦巻銀河NGC7331

ここからはいよいよ「ゲストコーナー」
臼田さんには、「超大型30m望遠鏡TMTで宇宙の謎に挑む」というタイトルで
お話いただきました。…ところでTMTってなんの略?
TMTは「Thirty Meter Telescope(30m望遠鏡)」の略です。この30mというのは、
望遠鏡の中に入っている鏡の大きさを表しています。同じくハワイにある、すばる望遠鏡の
中に入っている鏡は8.2mなのでこのTMT望遠鏡がどれだけ大きなものか想像できると思います。
TMTはまだ開発中ですが、その完成予定の映像を見せていただきました。
最新の技術を駆使し、従来の望遠鏡の限界を遥かに超える解像度・集光力・感度の実現を
目指すTMT、観測できる等級の限界は、すばる望遠鏡の28等に対してなんと32等。
この32等とは、仮に月にホタルを連れて行ってそのホタルが光ったときの明るさなのだそうです。
人間の目で見える限界が6等、都会で見えるのが1,2等なので、その性能の高さには驚きです。
国立天文台TMT推進室HP
http://tmt.nao.ac.jp/
最後は、太陽系を出発して宇宙の果てまでひとっ飛び。宇宙の果てでは、大きな銀河も点のように
なり「宇宙の大規模構造」と呼ばれます。網のような構造はまるで宇宙の地図のよう。
ゲストコーナーで紹介していただいたTMTは、この隙間だらけの宇宙地図の完成に大きく
貢献することが期待されています。TMTの完成が待ち遠しいですね。
科学ライブショー「ユニバース」では毎回様々なゲストをお呼びして科学の話題をお送りしています。
ぜひ科学技術館4階シンラドームへお越しください。