7月12日@科学技術館

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本日の科学ライブショー「ユニバース」は、伊藤哲也(国立天文台)が案内役を務め、
お送りしました。
はじめに本日の星空をご覧いただきました。西の空を見上げると、しし座やおとめ座が
見えます。おとめ座の近くには火星、少し南を向くと、てんびん座があり、そばには
土星が見えます。また、今年の七夕は東京では天気が悪く見えませんでしたが、南の
空には織姫星と彦星にあたる、はくちょう座のベガとわし座のアルタイルが見えます。
この間に天の川もあります。みなさんも、夏の夜空を見上げてみてくださいね。
続いて「ライブ天体観測」のコーナーです。アメリカのヤーキス天文台のビビアンさんと
つなぎました。ヤーキス天文台は曇りでしたが、ビビアンさんは他の場所にある望遠鏡を
遠隔操作をして天体写真を撮ってくださいました。1枚目の画像はオーストラリアの
望遠鏡で撮っていただいた月の画像です。月のクレーターがとても美しい写真でした。
2枚目の画像は天王星とその周りを回る月です。天王星は一番大きなティタニアという
月をはじめとして、たくさんの月を持っています。3枚目の画像は小惑星
ジェーンシックです。この小惑星は火星のすぐ近くの軌道を通っていて、いつか火星に
衝突するかもしれないそうです。そのほかにも、カリフォルニアにある望遠鏡を遠隔
操作して撮影していただいた月の写真や、環まで見える土星の写真も見せて
いただきました。


moon.png
図:月
uranus.png
図:天王星とその月
janesick.gif
図:小惑星ジェーンシック

最後は、「ゲストコーナー」です。本日はアメリカのコロラド州にあるデンバー
自然科学博物館からカ・チュン・ユさんにお越しいただきました。カ・チュン・
ユさんに「ドームで見る動物たちの大移動」というタイトルでお話していただき
ました。みなさんは、くじらが季節ごとに海を渡って旅をしているのをご存知
でしょうか。くじらは、冬はハワイなどの暖かい海域にいますが、夏になると
北上し、オホーツク海などの北の海にやってきます。では、どうしてくじらは
旅をするのでしょうか。その理由は植物性プランクトンの分布が季節によって
変わるからです。人工衛星によって観測された植物性プランクトンの分布を
見てみると、冬は植物性プランクトンが全体的に少なく、分布がハワイ周辺
等の南に偏っており、夏になると光合成が盛んになり、植物性プランクトンは
増えながら北上します。その植物性プランクトンを動物性プランクトンが食べ、
動物性プランクトンをクジラが食べます。そのため、植物性プランクトンが
増えると、くじらはそれを追って旅をするというわけです。
海ガメも旅をします。南米のメキシコで飼われていた海ガメを海に放すときに、
GPSと無線機を載せて放しました。すると、海ガメは1年もかけて太平洋を
横断し、私たちの住む日本まで旅をしたことがわかりました。海ガメが旅した
距離は、1万キロメートルもの道のりです。こんなに遠くまで海ガメが旅を
することが証明されたのは初めてのことだそうです。とても驚きですね。
ユニバースでは、プランクトンから宇宙の果てまで、ドームでの美しい映像を
使って紹介していきます。みなさんも、ぜひ足を運んでみてくださいね。