6月14日@科学技術館

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本日のユニバースは伊藤哲也(国立天文台)が案内役を務め、上演いたしました。
まずは今日の星空を眺めました。今の季節は昼の時間が長いため、夜8時ごろに
ならないと星が見えません。しかし、最近は惑星がたくさん見える時期でもあります。
西の空低くにふたご座と木星、南の空にはおとめ座と火星、てんびん座と土星が
輝いています。東の空には夏の星座の代表であるさそり座を見ることができます。
科学的根拠はありませんが、昔の人は星座を形作る恒星の間を動いていく惑星の
動きを不思議に思い、これを地上に起きることと結びつけて星占いを作りました。
「ライブ天体観測」のコーナーでは、ヤーキス天文台のケビンさんとインターネットを
繋ぎ、お話をしました。土星やその衛星の様子、子持ち銀河、球状星団、またペリカン
星雲といった天体の写真を見ることができました。


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図:土星とその衛星。緑の丸の中に衛星が写っている。
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図:M51 子持ち銀河
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図:M5 球状星団
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図:ペリカン星雲

地上から宇宙へ飛び立ち、太陽を離れ天の川銀河までたどり着いたところで「ゲスト
コーナー」
へ移りました。本日は藤井通子さん(国立天文台理論研究部)に「重力が
作り出す銀河のうず巻き」というテーマでお話をしていただきました。私たちの住む地球の
ある天の川銀河はとても大きく、その中の太陽系は秒速200kmという非常に速いスピードで
銀河中心の周りを回転しています。それにもかかわらず、銀河を1周するのに2億年もの
時間がかかります。天の川銀河のような大きな天体の形を知るときには、星の距離を測る
方法と、コンピューターを使ってシミュレーションするという方法があります。今回は、
3千万個の星とそれぞれに働く重力を計算した結果の映像を見せていただきました。
はじめに、円盤状に集まった銀河中心の周りを回転するたくさんの星があります。星と
星のあいだに重力がはたらくことで、この円盤にうずまきの模様があらわれ、しばらく
すると銀の腕の部分が作られました。その腕はちぎれたり繋がったりを繰り返しながら
回転しています。20年ほど前のシミュレーションでは、計算できる星の数は3万個ほどで、
腕の形が崩れていくという結果になってしまいました。しかし、コンピューターの進化に
よって、より多くの星の運動を計算することができるようになり、腕は100億年経っても
消えずに存在できるという結果を得ることができました。もっとコンピューターが進化
すれば、実際の銀河のように1000億個の星で計算したり、地球のような惑星も含めた
シミュレーションもできるようになるかも知れませんね。
最後に銀河からもっと離れ、銀河団、宇宙の大規模構造、そして宇宙背景放射を見に行
きました。宇宙背景放射はビッグバン説の証拠となる光で、どこでもほぼ均一ですが、
10万分の一程度の非常に小さなムラがあります。先日、このムラにインフレーション
理論を裏付ける証拠があるかもしれないという発表があったそうです。インフレーション
理論とは日本人の佐藤勝彦さんが考えた理論で、ビッグバンの前、一瞬のうちに宇宙が
とてつもない勢いで広がっただろうという説です。まだ観測が不十分だそうですが、
確定すれば佐藤さんにはノーベル賞が出るかも知れません。観測結果が楽しみですね。
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